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有職文様素材集1ー2 (有職文・地文系・立涌)

ページ全面に細かく広がる雅な壁紙          


雲立涌1 雲立涌2 雲立涌3
藤立涌1 藤立涌2 藤立涌3 藤立涌4
藤立涌5 藤立涌6 藤立涌7 藤立涌8
竜胆立涌1 竜胆立涌2 竜胆立涌3 躑躅立涌1 躑躅立涌2 躑躅立涌3 躑躅立涌4
桜立涌1 桜立涌2 桜立涌3 桜立涌4
梅立涌1 梅立涌2 梅枝立涌1 梅枝立涌2
牡丹立涌1 牡丹立涌2 唐花立涌1 唐花立涌2
松立涌1 松立涌2 松立涌3 松立涌4 松立涌5 松立涌6 松立涌7
菊立涌1 菊立涌2 菊立涌3 菊立涌4 菊立涌5
菊立涌 菊立涌 菊立涌 菊立涌 菊立涌 菊立涌6 菊立涌7 菊立涌8 菊立涌9
菊葉繋 菊葉繋 菊葉繋 菊葉繋 菊葉繋 菊葉繋
菊浮線立涌1 菊浮線立涌2 菊浮線立涌3
桐立涌1 桐立涌2 桐立涌3 桐立涌4
桐竹立涌1 桐竹立涌2 桐竹立涌3 桐竹立涌4
薔薇立涌1 薔薇立涌2 薔薇立涌3 薔薇立涌4
葡萄立涌1 葡萄立涌2 葡萄立涌3 鳳凰立涌1 鳳凰立涌2 鳳凰立涌3

解説

ここでは装束の地紋として用いられた文様のうち、立涌(たてわく・たちわき)をモチーフにしています。
立涌は蒸気の立ち昇るさまを表現したものとされ、湾曲した曲線のつながりです。膨らんだ部分に様々な意匠を
入れ、多くの立涌文様が作られ、愛用されてきました。蒸気の立ち昇りは吉祥であり、縁起の良いものとされました。
代表的なものについて説明しましょう。

雲立涌
蒸気が立ち昇り、雲がわき起こる様子を象っためでたい文様で、関白の袍(束帯の上着)や親王の袴などに用いられた、やはり高貴な文様です。現代でもよく見受けられるものです。今日の男子皇族の指貫(衣冠に用いる太いズボン)はこの文様が用いられています。雲立涌にも千差万別のバリエーションがあります。
藤立涌
藤は平安時代に特に愛された植物です。その色(紫は高貴な色として好まれました)、そして権勢を誇った藤原氏の影響もあるのでしょう。そうしたことから藤立涌にも多くのバリエーションがあり、ここではそのうち4種をご紹介しています。男女を問わず様々な装束に用いられました。特に男子の狩衣、女子の五衣(いつつぎぬ・十二単の内側に重ねて着る着物)などに多く用いられました。
松立涌
これも古い文様です。松は常緑の吉祥植物であり、今日の皇族女性が着用する十二単の「五衣(いつつぎぬ)」の文様はこの松立涌です。
菊浮線立涌(きくふせんたてわく)
上皇の袍の文様として用いられた記録が残っています。
竜胆立涌(りんどうたてわく)
摂家の近衛家や鷹司家などの袍の文様として用いられました。ここでは徳川将軍家で若い(11歳)大納言家定の小直衣として調進された文様を紹介します。
躑躅立涌(つつじたてわく)
上記摂家の袍の文様ですが、「躑躅立涌」と表記されることも多いようです。ただし涌形の中の紋は竜胆車ですから、やはり「竜胆立涌」が正しい名称と言えるでしょう。
梅立涌
ここに示したのは明治時代の袿に見られるものですが、やはり古い文様です。
桜立涌
様々に用いられましたが、ここで示した文様(1〜2)は、即位の大礼の時に用いる「礼服(らいふく)」という中国式の装束において、武官がよろいを模して着用した「裲襠(りょうとう)」という布に見られる文様です。
桐立涌
桐は皇室の文であるため用いる場合が選ばれました。3〜4は、江戸時代末期(天保〜弘化年間)の小直衣や水干に見られます。ここでの水干とは平安時代の庶民服ではなく、武家の礼装や公家の日常着としてのものです。これには本来は涌形があり、その中に桐唐草がある意匠ですが、ここではモチーフを強調する意味で涌形は省略しました
薔薇立涌(しょうびたてわく)
「しょうび」とはバラのことです。記録では「薔薇」となっているので、ここでもその名称を用いましたが、図柄は牡丹の花のように見えます。バラの葉にはこうした切れ込みがないからです。この文様は江戸時代の将軍の小直衣柄として記録されています。本来は涌形があり、その中に薔薇がある意匠ですが、ここではモチーフを強調する意味で涌形は省略しました。元々の文様の出所は、東寺(教王護国寺)にある「薔薇唐草文様」にある「薔薇の丸」で、これを立涌文様に変化させたものです。こうした、正倉院はじめ古くから伝わる文様を、装束文様として用いた例は非常に多いのです。
葡萄立涌(ぶどうたてわく)
この文様は「雲立涌」とされる場合もあります。しかしその文様はペルシャから伝わった「葡萄唐草文様」の直系のようでもあり、「葡萄立涌」と称されることも多いようです。古くから様々な装束に用いられました。
鳳凰立涌(ほうおうたてわく)
徳川将軍家では小直衣が多用されていました。この文様も薔薇立涌同様、幕末の将軍家慶が老年に用いた記録が残っています。